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前週の市場総括と今後の展開 - 2025年6月2日

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コーエン・ホーレルベケ

オプション戦略責任者

注: 当記事はマーケティング用の資料です。

前週の市場総括と今後の展開

2025年6月2日 (2025年5月26日~30日の週の振り返り)

主なニュースと動向

市場は、関税の見出し、中央銀行から発せられるシグナル、不安定な経済に関するデータなどにより、急激に変動しました。米国と欧州の株式は、トランプ大統領の関税の脅威、裁判所の判決の変化、マクロ経済についての根強い不確実性に反応しました。エヌビディア(Nvidia)のようなハイテク企業は、決算発表で際立っていました。ボラティリティは週明けに上昇しましたが、株価が上昇するにつれて低下しました。暗号資産の価格は低下しましたが、ETFへの資金流入は続きました。現在、市場の焦点は米国の雇用データと主要な中央銀行高官による講演者に移っています。


株式

米国:

  • 週明けは関税懸念が優勢で、S&P500、ナスダック、ダウは5月27日(5月26日の取引を反映)にそれぞれ2.5%以上下落し、アップル(Apple)がEUの関税の脅威から7.6%下落しました。
  • 5月28日、トランプ大統領はEUの関税を延期し、リリーフラリー(悪材料の軽減による反騰)を引き起こしました(S&P 500 +2.05%、ナスダック +2.47%)。エヌビディア(Nvidia)は決算を上回り3%上昇し、テスラ(Tesla)は6.5%上昇しました。
  • 5月29日までに、エヌビディア(Nvidia)の時間外取引の好調な業績(+5%)により、テクノロジー株への注目は続きましたが、米国際貿易裁判所はほとんどの関税を差し止め命令により阻止しました。
  • 5月30日、S&P500とナスダックは、米控訴裁判所が下級審の差し止め命令を覆して関税を復活させた後、わずか0.4%の上昇にとどまり、以前の楽観的な見方を封じ込めました。
  • 金曜日(5月30日反映):S&P 500は横ばいで取引を終え、ナスダックは0.3%下落し、ダウ平均は0.13%上昇しました。Ulta Beautyはガイダンスの引き上げにより11.8%上昇した一方で、Gapは売上高に関する悪材料により20%下落しました。

欧州:

  • トランプ大統領が関税を延期した後、(EU各国の)欧州株は反発し、5月27日にはストックス欧州50指数(STOXX50)が1.3%、独DAX指数が1.68%上昇しました。
  • ディフェンシブセクターと輸出業者は、関税の恐怖が続く中、引き続き注目されています。
  • 木曜日には、法的な不確実性が戻ったため、序盤の上昇の勢いが薄れました。
  • 金曜日までに、欧州株式は5月を堅調に終了し、インフレデータの緩和とECBの利下げ期待の高まりに牽引され、ストックス欧州600指数(STOXX600)は月間で4%、独DAX指数は7.1%上昇しました。

アジア:

  • 日経平均株価指数と香港ハンセン株価指数は、米国の関税に関するニュースの見出しとセクターのローテーションを受けて変動しました。中国の工業セクターからの良好な業績発表は下支えとなりましたが、米中の緊張と利益確定により、ハイテク株とEV(電気自動車)株は出遅れました。

ボラティリティ

ボラティリティは高水準で推移し、VIX指数は前週の5月23日(金)に22.29で取引を終えましたが、これは関税や政策リスクに対する市場の不安を反映していました。週が進むにつれてボラティリティは着実に低下し、5月28日(水)にはVIX指数は18.96で取引を終えました。これは、株価が上昇し、リスク選好が改善したためです。短期指標(1日VIX、9日VIX)も急低下しました。6月上旬までに、VIX指数は18.6付近で安定しており、穏やかな状況に戻ることを示唆していましたが、主要な経済データや中央銀行の会合を前に、警戒感が根強く残っていました。


デジタル資産

ビットコインの価格は軟化し、104,900米ドル(5月30日)付近で週を終えましたが、イーサリアムは2,493米ドルまで小幅に下落しました。

  • ブラックロックのIBIT ETFには先週、5億3000万米ドルの資金流入があり、資産は720億米ドルに達しました。
  • ETHA(イーサリアムETF)にも強い資金流入が見られました。
  • コインベース・グローバル(COIN)、マイクロストラテジー(MSTR)、マラソン・デジタル・ホールディングス(MARA)などの主要な暗号通貨関連株は、トレーダーが利益確定をしてセンチメントが冷え込んだため、アンダーパフォームしました。

債券

米国債の長期利回りは週半ばに低下し、10年物は5月28日に4.40%まで下落した後、週末には5%をわずかに下回る水準で安定しました。

  • 日本の長期債利回りは、入札調整と政策シグナルにより変動しました。
  • 欧州国債の利回りは、インフレが沈静化し、ECBの利下げ期待が高まる中、低下しました。
  • 米国のハイイールド債のスプレッドは週明けに縮小し、金曜日までに4ベーシスポイント拡大して315ベーシスポイントとなりました。

商品

金は週半ばに3,300ドルを下回りましたが、貿易リスクと地政学的リスクが高まったため、遅れて反発しました。

  • 原油は不安定で、OPEC+の会合と地政学的な見出しの再発表後に回復しました。
  • 銅は、関税の憶測と供給の混乱により上昇しました。
  • ウラン関連株とETFは、原子力セクターを支援する米国の大統領令を受けて急騰しました。

通貨

米ドルは、週明けに特に円に対して上昇しましたが(日本の政策に関するニュースを受けて米ドル円(USDJPY)は146.00を上回りました)、米国の経済指標が弱まった後、金曜日には軟化しました。

  • ユーロ/米ドル(EURUSD)は、週末までに1.1370を取り戻しました。
  • 英ポンドは、国内データがまちまちであるにもかかわらず、1.3500付近で推移しました。
  • ニュージーランドドルは、タカ派的なニュージーランド中銀(RBNZ:ニュージーランド準備銀行)の利下げを受けて上昇しました。

主なポイント

  • 関税に関するニュースの見出しは、株式と市場心理の急激な変動を引き起こしました。
  • エヌビディア(Nvidia)はアウトパフォームしました。テクノロジーセクターとAI関連株には引き続き焦点が当てられました。
  • VIXボラティリティ指数は高水準で始まりましたが、株価が上昇するにつれて衰えました。
  • ビットコインとイーサリアムは軟化しましたが、IBITとETHAのETFの流入は引き続き堅調でした。
  • 債券利回りは、政策転換とECBの期待により低下しました。
  • 金、原油、銅は、マクロ経済のリスクと地政学的リスクを背景に、終盤に反発しました。
  • 米ドルは不安定で、経済データが期待外れだったため、週後半は弱含みとなりました。

今週の展望(2025年6月2日〜6日)

  • 主なイベント:米国雇用統計05月(金曜日)、パウエルFRB議長のコメント、米貿易収支04月、消費者信用、米ISM製造業・非製造業景気指数05月、米耐久財受注(確報値)04月に関する最新情報
  • 決算発表:クラウドストライク・ホールディングス(CrowdStrike)、ブロードコム(Broadcom)、ダラー・ツリー(Dollar Tree)、ファイブ・ビロウ(Five Below)、ルルレモン・アスレティカ(Lululemon)
  • マクロ:貿易/関税の最新情報が続出。ECB6月会合での政策金利決定(木曜日)。
  • 市場は引き続き労働データ、インフレ、中央銀行から出されるシグナルに注目しています。

結論

5月の市場は、関税によるボラティリティと中央銀行の政策決定に関する不確実性から主要指数が回復するなど、慎重ながらも底堅い動きで終了しました。特に貿易政策や経済成長をめぐるヘッドラインリスクは依然として残っていますが、投資家は今後の雇用統計と主要な決算発表に焦点を移しました。ボラティリティが緩和されるにつれ、市場はより良いポジションにあるように見えましたが、世界的な不確実性から6月にかけて、市場参加者の見通しが流動的であることが示唆されています。

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