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グローバルマクロ戦略責任者
サマリー: 米ドルは、トランプ政権が取引を行う準備ができていると市場が期待していることから、急上昇しています。しかし、市場は状況を過大評価しているのでしょうか?いずれにせよ、米ドルの買戻しによる素早く切り返しての上昇は、双方向のボラティリティリスクは残っているものの、米ドルの弱気派にとってのリスク・リターンを改善します。
注:これはマーケティング用の資料です。
トランプ米大統領とベッセント米財務長官が米中貿易戦争の緊張緩和に向けた探りの行為を示唆していることが明らかになったため、米ドルの容赦ない投げ売りの動きはついに強い抵抗を示しました。火曜日遅くにトランプ大統領が関税引き下げについて発言した後、ベッセント財務長官は昨日、大きな取引の可能性と、中国が経済のリバランスを望むのであれば、米国が経済をリバランスする用意があると積極的に推奨し、支持を集めようとしました。
しかし明らかなことは混乱が支配しているということだけです。ベッセント長官とホワイトハウスのレビット報道官が、アメリカが一方的に動いて中国に対する関税を引き下げることはないと述べた後、昨日のトランプ大統領自身が最終的に発言したように、もし中国との合意が成立しなければ、今後2、3週間で中国の関税水準を設定するというものでした。これは、その日の早い時間にWSJの独占記事が、関税レベルが50〜65%に引き下げられるか、非必需品に対してはおそらく35%と低く、国家安全保障にとって重要と見なされる商品に対しては100%以上という、段階的なシステムに従う可能性があることを情報筋が示唆したと主張した後です。
これらのWSJの情報源は、おそらく彼らが得られる限り確かなものであったとは思いますが、上司が日々何を決定するのか誰も知らず、複数の情報源が異なる意見を持っているかもしれず、また最終決定権を持つ唯一の人物であるトランプ大統領によっても異なることを約束されているかもしれない状況下で、どんな情報源であれ、どれだけ信頼できると言えるのでしょうか。
それはすべて不可能であり、水晶玉をかなり曇らせています。中国は興味を示して関与するのでしょうか?どういった時間枠で考えればよいのでしょうか。ベッセント長官が昨日述べたように、米中貿易協定が成立するまでに2〜3年かかるのでしょうか?現在、市場は2〜3年ではなく、12〜24時間の周期で反応し、動いています。最もバラ色のシナリオは、関税水準を非禁輸といえる水準まで大幅に引き下げるという米中二国間協定でしょう(WSJの情報源が示唆する50-65%でしょうか?しかし、それでも非常に高いです!)。さらに、今後数週間のうちに、米国と他の貿易相手国との間で、トランプ大統領が「解放記念日」に脅かした関税に比べてかなり低い関税での、重要な貿易協定が提案されて議題に上がるのかを見る必要があるでしょう。上記のようなバラ色のシナリオとなった場合、米ドルはさらに数パーセント上昇する可能性がありますが、米ドルの弱気派のリスク・リターンはすでに改善しており、我々は米ドル円(USDJPY)のレジスタンスのある、上記のシナリオで考えられる水準より下の場所を探ります。
ニュースのヘッドラインリスクによる絶え間ない脅威にさらされているこの市況下では、短期的なポジションは安全ではないと言っても過言ではありません。どちらの方向であれ関税についてより明確となれば、数週間以内に上記のような状況が解消される可能性がありますが、それも当てにすることはできません。要するに、米国の例外主義の時代は終わり、米ドルは今後数年間、長期的な弱気相場にあるという長期的な確信の中で、短期的にどういったことが発展していくのかについて、我々は機敏な姿勢を保っています。
チャート:米ドル/円(USDJPY)
テクニカル分析の一つである、一目均衡表のチャート分析法は日本で非常に人気があり、米ドル/円(USDJPY)は週足の一目均衡表で重要なテクニカルなブレイクアウト(レジスタンスラインの突破)を達成しました。これは、当日の終値を26日後ろにずらして表示させた線で描かれた「遅行スパン」(下のチャートに表示された太い緑の線)が、現在の価格、それに(転換線と基準線の半値を26日先行させてそれを繋げた線である)「先行スパン1」と(過去52日間の最高値と最安値の半値を26日先行させて、それを繋げた線である)「先行スパン2」といった他の重要な指標である線に挟まれて形成される抵抗帯「雲」(影付きの領域)の両方を突破しました。従来型のより一般的なチャート技術者は、1ドル140円の水準が巨大なヘッド・アンド・ショルダー(三尊天井)の天井形成のパターンにおけるネックライン(2つの谷を結ぶ、赤い点線)のように見えることを指摘し、その水準を下に突き抜けると古典的には1ドル120円の水準に向けて下落するだろうことを示唆します(ヘッド・アンド・ショルダーが形成される高さが転換した下落トレンドにおけるターゲットを定義します)。問題は、米ドル/円(USDJPY)の弱気筋にとってのリスク・リターンであり、この最近の同通貨ペアの戻りの動きを、少なくとも144.21まで、さらには145.00を超えても、4月上旬の高値151.21からの局地的な下降トレンドにさえ大きく挑戦することなく、継続することができます。短期的なトレンドとしては、147.00付近で経験的な課題に直面するだけです。そして、「右肩」の高値から158.89まで上昇する大きな為替の下降トレンドがあります。このトレンドは、151.50の水準を超えるまでは大きく挑戦されることはないでしょうが、150.00は大局的には大きな心理的レジスタンスレベルであると私はとらえています。弱気派は、145.00が引き続きレジスタンスを提供している場合、ここで軌道に乗るのが最も簡単であることに気づくでしょう。一目均衡表のチャート分析の技術者にとって、この値動きのパターン(セットアップ)は、「遅行スパン」からの強力なトレンドを形成するブレイクアウトの指標であるにもかかわらず、特に役立つものではありません。日足の「雲」のレジスタンスは、5月下旬まで145.00レベルにまで落ちず、下のチャートに示されている週足の雲は重要なレジスタンスとなっており、10月まで150より上の水準で推移することが示されています。
他の通貨ペアでは、ユーロ/米ドル(EURUSD)は、1.1300+エリアで局地的なサポートが展開され、1.1200(おおよその前回のレンジの高値水準)で強気派のより経験に基づいた局地的なサポートが見られましたが、現在の同通貨ペアの為替が1.0200未満の水準からずっと上昇してきたことを覚えておく必要があります。したがって、この動きの「最終的な」サポートは1.08-1.1000の領域ではありません。1.0141からの上昇トレンドにおける61.8%のリトレースメントをみると、安値は1.1573まで、高値は1.0688までとなっています。大まかに言うと、1.1300に1本目、1.1200に2本目、1.1025-50に3本目が並んでいます(上昇途中の様々な主要な波からのフィボナッチ・リトレースメントの水準の組み合わせは、私にとって重要な構造的サポートゾーンです)。 主要10通貨と人民元(CNH)のトレンドの展開とその強さを示す表 注:これはFXボードのトレンド・インジケータの新しいバージョンであり、古いものと非常によく似ていますが、近日中に紹介するトレンドシグナリングモデルの入力に一致するように古いバージョンとはわずかに異なる計算パラメータが使われています。また、各通貨の平均ATR(アベレージ・トゥルー・レンジ:真の変動幅)の測定値とそのヒートマップを上部の表の下に配置しました。 確立されたトレンドに対して2日と5日のモメンタムが対照的な色を示していることから、ここのところ為替は主に逆トレンドの動きとなっており、現在のトレンドが変化するためには、より多くの力が必要になるでしょう。
FXボードのトレンド測定値は相対的な尺度を示しており、ボラティリティが調整されています。各通貨について、絶対値2未満の測定値は比較的弱いトレンドであることを示していますが、3を超える測定値はトレンドが非常に強く、6を超える測定値はトレンドが非常に強いことを示しています。
表:個々の通貨ペアの新しいFXボードトレンドスコアボード
ここでの注目すべき動きは、銀が強気トレンドを再確立しようとしていることや、ユーロ/スウェーデンクローネ(EURSEK)が大きな上昇を消し去り、新たな下降トレンドを確立しようとしていることです。